【木の上の女神】後編 とくん。とくん。とくん。 この、心臓の音は果たしてどちらのものだったのか。 「ぱ…パーシヴァル?」 名前を呼ばれて我に返ると、まともにクリスと目が合った。 彼女は顔を赤く染め、怪訝そうにパーシヴァルを見つめている。 「その…すまないが、降ろして貰えないか?」 「…これは失礼しました、クリス様。」 どうやら彼女を横抱きに抱えたまま、少しの間固まってしまったらしい。 さり気なさを装って地面に降ろしてやると、クリスはほんの僅かにパーシヴァルと距離をとるようにして立ち、くるりとこちらに向き直した。 「…ありがとう。助かったよ。」 ───ああ。どうか、そんなに無防備な笑顔を見せないで欲しい。 わたしはあなたの忠実な部下でいられなくなってしまう。 あなたの信頼を裏切ってしまう。 パーシヴァルは己の腕に残った温もりを振り払うように一旦目を閉じると、改めてクリスを見やった。 「いえ、ご無事で何よりです。それでは何故慣れない木登りなどなさったのか、説明して頂けますね?」 「はは……」 彼女が話し易いようにわざと茶目っ気を強調してにこやかに言うと、クリスは力なく笑ってみせた。 本当に、今日の団長殿はいろいろと珍しい。 「言い訳になるかもしれないが、逃げるつもりはなかったんだ、これでも。少し…一人で気持ちを落ち着かせたかっただけで。」 「……演劇、ですね?」 「ああ。お前が留守の間に決まったんだ。もちろんわたしは最初から断固拒否したんだが、今回は城下町の人々のどうしてもという要望が強いとかで…結局引き受ける事になってしまった。今日がその当日なんだ。」 「そうだったんですか…」 パーシヴァルにしてみれば少々コメントの難しい話である。 ゼクセンの騎士団長殿の大根役者振りは一種伝説のようなものだった。 彼女はこの城に劇場ができてから今までの間にたった一度だけ、端役で出演した事がある。 それも彼女の実力を知らなかった城の住人皆で拝み倒して引き受けさせたものだったが、結果は彼女の「演技は向いていない」という自己申告以上に燦々たるものだった。 どんなに上手い主役ですら霞んでしまう程の、徹底的な演技音痴。 本人も自覚しているだけに、フォローのしようがないとはこの事だ。 天は彼女に二物も三物も与えたが、演技や歌といった芸術方面の才能までは与えなかったらしい。 それでも彼女はゼクセンでもグラスランドでも知らぬ者はいない『銀の乙女』。 そのずば抜けた美貌と華やかさもあって出演するだけで客は喜ぶのだが、裏を返せば「容姿だけ」と言われているようで本人にしてみれば堪らないだろう。 よってそれ以来一度も出演依頼を引き受けていないはずだ。 そのクリスが出演するとなればそれは城下町も騒ぎになる。 ───そしてそれが余計に彼女のプレッシャーになるのは想像に難くない。 「引き受けたからには、練習はしたんだ。部屋に一人でいる時も。相手役に笑われるのも癪だし。だがどうしても、上手くできなくて…せめて静かな場所で少し気持ちを落ち着かせたらなんとかなるかと思ったんだ。でも世の中、そんなに甘いものでもないよな。」 大丈夫、すぐに劇場に向かうから、と複雑な笑みを浮かべるクリス。 生真面目な彼女のことだ、悩んで悩んでどうしようもなくなったんだろう。 それでも直前ですっぽかすという選択肢が彼女の中に存在しないのは明らかで、それがなんとも彼女らしかった。 …そういえば。 「因みに、クリス様の役名は何ですか? 相手役の役者は?」 迂闊にもまだ聞いていなかった事を思い出す。 なんだか嫌な予感がするのは気のせい…だと思いたい。 途端、クリスが「うっ」と眉間に皺を寄せた。 どうやら余程言うのに抵抗があるらしい。 問われなかったらこのまま逃げ切るつもりだったに違いない。 「………ジュリエット、だ。ロミオは………………ナッシュ。」 「………………」 またしても予感的中。 パーシヴァルはさり気なく額を押さえる事によって辛うじて内心を顔に出すのを避けた。 かの有名な悲恋物語でクリスがジュリエットをやるとなればそれは話題にもなるだろう。 相手役についてもクリスの知らぬところでさぞ熾烈な戦いが繰り広げられたに違いない。 しかしよりによって自分のいない時に───しかもあの男に決まらなくても。 女受けが良くて演技が達者なあの男でなければ大根役者殿のフォローが務まらないだろうという劇場側の心理も理解できてしまうだけに、余計に苦いものがある。 尚且つクリスはいつも自分をからかって遊ぶ工作員に対して騎士団に対するのとは別の信頼を寄せつつも妙な意地を張っており、あの男を前にして尻尾を巻いて逃げるというのは彼女にしてみればかなりの屈辱なはずだ。 彼女を余程よく見ていなければ気付かないであろうその辺りの事情を知ってか知らずか、劇場側の人選は正直、舌を巻く。 案外憎まれ役を覚悟したナッシュ本人による入れ知恵かもしれない。 どちらにせよあの男が騎士団全員を敵に回している危険人物なのは疑いようがなく、パーシヴァルにすれば好ましくない事この上ないが。 突然黙ってしまったパーシヴァルをどう解釈したのか、クリスは大きく溜息をついた。 「分かってる。わたしにジュリエットなど似合わないというのだろう。」 「いえクリス様、そのようなつもりは…」 いや相手役や彼女の演技力という意味ではあながち外れてもいないが、断じて役どころが分不相応だとは思わない。 クリス程ではないにせよあまり劇場出演を喜ばないパーシヴァルでも、できるものなら今すぐにでもロミオ役を代わりたいと思う。 例え演技だと分かっていても、今の自分にとって同じ壇上で彼女と愛を語れるのならそれ以上の喜びはないだろう。 慌てて釈明するものの、当のクリスは自嘲するように肩を竦めてみせた。 「無理をしなくてもいい、パーシヴァル。わたしだって分かっているんだ。わたしには悲劇のヒロインといった可憐な要素はない。剣を振り回すしか能のない大根役者は、せいぜい舞台で笑われてくるよ。」 サロメは今日は一日執務室にいるはずだ。時間をとらせて悪かったな、というクリスの声が何処か遠くから聞こえる。 ───このお方は……… 「───お待ち下さい!」 気が付けば。 何事もなかったように自分の横をすり抜け、そのまま劇場の方へと向かおうとするクリスの右腕をパーシヴァルは乱暴に掴んでいた。 「…パーシヴァル?」 騎士団に入ってからの付き合いは結構長いが、彼女に対してこのような乱暴な振る舞いをした事は未だかつてない。 怪訝そうに眉をしかめるクリスに、パーシヴァルは言い放った。 「それ程嫌ならば、出演される必要はございません。」 「え…?」 まるで今その選択肢があるのに気付いたかのように──実際そうなのだろう──紫水晶の目が見開かれる。 「で、でも、一度引き受けたんだぞ?」 「あなたはご多忙な身です。ブラス城辺りから急用が入ったという事にでもすればいいでしょう。」 「そんな、わざわざ観に来る城下町の人々を騙すような事は! そもそも彼らからの要望なんだ!」 「クリス様、勘違いなさってはなりません。この城はあくまで戦争の拠点です。そしてあなたはゼクセン側の最高責任者。あなた自身の都合が何よりも優先されます。劇場はあくまで余裕がある時のお遊びなのですよ。」 「だ、だとしても! この城を実際に離れる訳にはいかないし、すぐにバレるじゃないか!」 「それならば出演できない程のご病気もしくはお怪我をなさった事にすればいいでしょう。」 「病気ってお前…」 「ああ、それだと見舞いだなんだと煩いかもしれませんね。いっそ木から落ちた…は信じて貰えないでしょうから階段で足を滑らせたとでも言って怪我にした方がいいですね。」 「パーシヴァル!!」 「信憑性が欲しいなら、わたしが証人になります。すぐにでも包帯を巻いて差し上げましょう。」 「いいかげんにしろ、パーシヴァル! わたしは嘘をついてまで逃げたくはない!」 「彼…ナッシュ殿に笑われるのが嫌なのですか?」 「どうしてここにナッシュが出てくる! それは関係ない!」 「そうですか? どちらにせよ、彼はハルモニアの人間です。彼に笑われようと軽蔑されようとあなたにはなんの支障もないはずだ。」 「…わたしは…」 「ジュリエットは似合わないのでしょう。演技が下手なのでしょう。自信がないのでしょう。だったら、やらなければいいのです。」 「……………」 「そんなに惨めなジュリエットをやりたいですか?」 ────パンッ!! 人気のない道に、乾いた音が響いた。 その勢いで掴んでいた腕が離れる。 ためらいなく目の前の男の頬を張った女の顔は怒りで上気していた。 「わたしは、わたしを待ってくれている者達の期待に応えたい!」 紫水晶の瞳に力が込められる。 「城下町の人々は本当は不安なんだ! いつ本格的な戦いが始まるか分からない今、不安でないはずがない。彼らを少しでも楽しませる事ができるなら、それに応えるのも最高責任者の仕事だ! わたしを選んでくれた彼らから逃げる事はできない! 似合わないジュリエットでもいい! 下手でもいい! わたしはわたしのジュリエットを精一杯やるだけだ!! 誰にも文句は言わせない!!!」 一気にまくし立て、肩で息をするクリス。 そして「あっ」と小さく呟くと自らの発言に驚いたように口元に手をやった。 「────それでいいんですよ、クリス様。」 パーシヴァルはようやく静かに微笑んでみせた。 ───もう大丈夫だろう。 それでこそ我らの騎士団長殿だ。 自暴自棄な彼女など見たくはない。 少々荒療治だったが、彼女が浮上できたのなら頬の熱などなんて事はない。 彼女を支えるのが自分の望みなのだから。 「す、すまない、パーシヴァル…わたしは…」 聡明な彼女もパーシヴァルの意図に気付いたのだろう。 感情に任せて部下を叩いてしまったという困惑と自責の念がクリスの顔にありありと見えた。 少し潤んだ瞳がじっとパーシヴァルを見つめる。 何か言いかけた形の良い薄紅色の唇がすぐそこにある。 と。 おそるおそる延ばされた彼女の白い手が、パーシヴァルの熱を帯びた頬に触れた。 再び、ふわりと銀糸が揺れ。 花の香が微かに漂う。 瞬間、頭の中が真っ白になった。 ───女神よ。 これ以上を望むのは罪なのかもしれない。 それでも。 この溢れる気持ちをどうする事もできない。 「クリス様…」 頬に当てられた白い手に、そっと自分の手を重ねる。 そのまま彼女の目を至近距離で見つめ返した。 「あ、その、えっと…」 こう来るとは思わなかったのだろう。 もしかしたらパーシヴァルの頬に手をやったのも無意識だったのかもしれない。 思いっきり狼狽するクリスに、パーシヴァルは努めて微笑んでみせた。 「正直に申しましょう。滅多にお目に掛かる事のない美しいジュリエットを見たいという気持ちはわたしも城下町の人々と同じです。ですがそれ以上にわたしは、あなたが誰かと愛を語るのを見たくはない。そういう意味ではあなたがジュリエットをおやりになるのに反対です。」 「な、何を…たかだか、芝居だぞ…?」 いかに鈍いクリスでも、パーシヴァルの言いたい事が伝わったらしい。 彼女の顔が今までにないくらい赤く染まる。 掴んだままの彼女の手から緊張しているのが伝わった。 「それでもです。それに…ご存知の通り、ロミオとジュリエットは悲恋物語です。あなたにはそのような辛い恋をして欲しくない。あなたには幸せなジュリエットになって頂きたいのです。」 ひとつ、息を吐く。 もう───隠せない。 「わたしにはあなたの選んだ道を止める事はできない。ですが、いつかあなたを芝居の上ではなく本当に幸せにしたいと願う男がここにいる事を覚えていて下さい。」 彼女の手を己の頬から外し────静かに、その手の甲に口づける。 「───あなたを、愛しています。もし許されるのならばあなたをずっと…支えたい。」 ───この気持ちを彼女に抱いたのは何時からだっただろう。 パーシヴァルとて、この年になるまで聖人面をしていた訳ではない。 色町に出掛ける事もあるし、過去には恋愛経験だってある。 その気にさえなれば、自分の何を気に入ったのか知らないが群がる娘達の中からその夜の相手を見繕う事も簡単にできた。 だがそれで満たされる事など一度だってなかったのだ。 クリス・ライトフェロー。 誰よりも真っ直ぐで誇り高く、そして繊細な女性。 『銀の乙女』『白き英雄』と崇められながらも自らの存在意義に悩み、成長し続ける彼女。 不器用な生き方しかできない女神。 彼女の力になりたい。 それがパーシヴァル・フロイラインの存在意義。 ほんの数日間留守にしていただけだった。 それでもこの城に戻ってきた時になんとも言えない安堵感を覚えた。 ここが騎士団の本拠地になっていたからではない。 離れていた間、ふとした瞬間に頭に浮かぶのは彼女の事。 彼女がいるからこそ、一刻も早くこの地に戻りたかった。 騎士団ではない。 彼女の傍らこそが、己の戻る場所。 例え彼女が自分を必要とせずとも、彼女が拒絶しない限り決して自ら離れる事はない。 「………時間がないのでしょう。今は、お行き下さい。」 とん。 完全に固まってしまったクリスの肩を、軽く押して劇場の方へと促す。 これ以上二人きりでここにいては、自制できる自信がない。 彼女をこのまま何処か遠くへ攫ってしまえたらどんなに楽だろうか。 「…あ…うん…」 我に返ったクリスが、慌てて頷く。 いきなりのパーシヴァルの言葉と行動に動揺しているのは間違いない。 それも無理ないだろう。 今の今まで彼女にとってパーシヴァルはそういった対象ではなかったのだから。 彼女が自分をせいぜい『信頼のおける仲間』としか見ていないのは予想の範疇だ。 あまりにも無防備な姿を見せる彼女にもしかしたらと思わない事も全くなかった訳ではないが、今の関係を失うのが怖くてわざとそのように仕向けたのは、他ならぬパーシヴァル自身。 そのクリスはパーシヴァルに押されるまま、駆け出し掛けて。 そして何かを決意したかのように振り返った。 「パーシヴァル。」 「…はい。」 心臓が、跳ねる。 「わたしは───はっきり言って、今まで貴公をそのような目で見た事がなかった。」 「存じています。」 ここで一時の気休めの嘘を言えるような人でないという事も。 次に来るのは謝罪か。拒絶か。何も聞かなかった事にして欲しいとでもいう話か。 まるで初めての恋に怯える年若い少年のように胸が締め付けられる。 しかし全ては自分の選んだ道。 どんな結果になろうとも、甘んじて受け止める覚悟はある。 「だけど……その、とても嬉しい気持ちになった。…たぶん、他の誰に言われるよりも。」 予想外の言葉にパーシヴァルが目を見開くと、彼女は慌てたように視線を泳がした。 「クリス様…?」 「えっと、だから───上手く言えないけれど。今は、わたしにできる限りでジュリエットを頑張る。パーシヴァルには、同じ舞台でなくても…見守っていて欲しい。その方が、きっと頑張れるような気がするから。」 「それは───」 「わたしだって、幸福なジュリエットになりたい。パーシヴァルが、わたしもそうなれるのだと教えてくれた。今はまだ、これからだけど…本当にいつの日にか幸せにしてくれる男がいるのなら、予行練習くらいしたっていいだろう?」 「だから観に来てくれないか、パーシヴァル?」 女神ではない。 『銀の乙女』でも『白き英雄』でもない。 生身の女性の、生気溢れる本当の笑顔がそこにあった。 頬を微かに染め、それでも一人の男を真っ直ぐに見つめるクリスの姿が。 「───はい。あくまで予行練習ならば───わたしも喜んで応援いたします。」 「ありがとう……感謝する。」 今は、これで充分だ。 これ以上の何を望もう。 今度こそ劇場に向かって走り去ったクリスの背中を見送りながら、パーシヴァルは溢れる想いに頬を緩めた。 もう、痛みは感じない。 すぐ側を風が吹き抜け、先程彼女が飛び降りた木から緑の葉が舞い上がった。 ───この日、この時を与えたもう女神に感謝する。 願わくば、これからのわたし達を見守りたまえ─────。 その日。 予定より僅かに遅れて上演された『ロミオとジュリエット』だったが、その内容については───やはり、主演女優の演技がある意味伝説に残るものだったらしい。 それでも何故か大方の予想以上に前向きで一生懸命なその姿は深い感動を与えたとかで。 それ以来ジュリエット役はゼクセンの騎士団長をという要望が殺到し、本人が悲鳴を上げる事になるのはまた先の話だ。 なお、彼女と疾風の騎士が一緒にいる姿がたびたび目撃され、壁新聞の一面を飾るようになるのも、もう少し先の話である──────。 【初めての箸栗なのになんでこんなに長くなったんだ座談会】 パーシヴァル(以下箸)「ふむ。これは一応、両想いだと解釈してよろしいのですね?」 クリス(以下栗)「え、あ、そ、そうなる…と思う…(真っ赤)」 箸「そんなに怯える必要はありませんよ、クリス様(苦笑)。 わたしもこれ以上はあなたの心が決まるまで気長に待つつもりです。 これでも無駄に長い間片想いをしていた訳ではありませんので。 先に希望が持てるだけ、遥かに嬉しいのですよ。」 栗「そ、そうか…すまない。なにせ、そういう事に慣れてなくて…。 えーとそうだっ、なんで劇がロミオとジュリエットになったのか知ってるか?」 箸「(誤魔化すのが下手だな…)いいえ。ご存知なんですか?」 栗「なんでも幻水サイトを巡ると7割くらいの確率であるらしいんだ、このネタが。」 箸「……それはなんとも……分からないでもないですけどね……」 栗「まぁそれについては作者が巡る(しかも足跡を残さない)サイトっていうのが、 わたしと……ナッシュの話を扱うところが殆どだというのも理由ではあるんだけどな。 つまり、ロミジュリネタは圧倒的にわたしとナッシュが多いんだ。 役どころはやはりわたしがジュリエットで、彼がロミオ。 ナッシュが劇の台詞そのままにわたしを…その、口説くというパターンだな。 あいつは普段の言動そのものが芝居臭いから、ぴったりと言えばぴったりなんだよ。 互いの立場もゼクセンとハルモニアで対立しているという意味では劇と似てるしな。」 箸「……………」 栗「当然自分もいつかやろうと考えてたのにあまりにも何作も読んでしまったので、 捻くれ者の作者は敢えて別のパターンでやってやろうという気になったらしい。 あくまで劇をやるのはわたしとナッシュ。これはそのまま。 でもメインはそこじゃなく、わたしの相手に別の人間を持ってきて話を作るのが意地と根性の見せ所だって… …どうしたパーシヴァル、眉間が寄ってるぞ?」 箸「……………すみません。待つのは覚悟していたつもりなのですが、 やはりあなたの口から別の男の名前を聞くのは面白くないものですね。」 栗「べ、別の男って…わたしにとってナッシュはそんなのじゃなくて、どっちかというと意地悪な兄というか 父親というかだいたいあいつには奥方が─────!?」 音声中断。 箸「……前言撤回、させて頂きます。あなたには…もっとわたしだけを見て頂きたい。」 栗「ぱ、パーシヴァル─────!?(汗)」 作者「諦めろクリス。所詮、この男もそういう男なのさ。だから私も気に入ってるんだし(オイ)。 そして一度ここでロミジュリネタを使ったからもう梨栗で使わないかと言ったら、 そうは全く言い切れないのが私でもあるのさ………(遠い目)」 本当はタイトルを「幸せなジュリエット」にしたかったんだけど、 |