【始まり】 にゃあ、と足元で小さく音がする。 その音に促されるようにゆっくりと目を開け、太陽の眩しさに眉をしかめてから俺は漸く自分の今の状況を理解した。 つまり校舎裏に座り込み、壁に凭れて熟睡していた自分に──だ。 ここに住み着いた猫の親子と俺の付き合いは結構長い。 今朝も入学式──と言っても中等部から高等部に移るだけだが──の前に餌をやりに来たのだが、春の陽の暖かさに誘われてついうとうとしてしまったらしい。 すぐ横を見れば持ってきた缶詰は綺麗に空になっている。
このまま式をサボるのを決定して別の仔猫を抱え上げて喉元をくすぐってやると、生まれたばかりの仔猫はゴロゴロと気持ち良さそうに喉を鳴らした。
高校生になったから何が変わる訳でもない。 いや───今の俺には、何もかもが色褪せて見える。 何かが足りない。 空虚な日常。 モデルなんて仕事をやっていて、アイドルだかタレントだか知らない女に強引に携帯番号を押し付けられたりしても煩わしいだけで何も楽しい事はない。 思えば、俺が一番幸せだったのは遠い記憶にあるあの頃だったのかもしれない。 家族が皆笑っていて───そして彼女が、居たから。
本当に昔の話だ。 あれから俺は祖父の生まれた国に渡り、帰国してみれば彼女の消息も途絶えていた。 そもそも彼女がこの町の何処に住んでいたのかすら、当時の俺は知らなかったのだ。 それで再会しようなんて考える方が甘いのかもしれない。 だいたい子供の頃の約束なんて誰がいつまでも覚えているというのか。 普通は忘れていて当然なのだろう。
今の俺は、あの頃の俺とは違うから。 例え───彼女に再会できたとしても。彼女があの頃のままだとしても。 俺は名乗りを挙げる事すらできないだろう。
成長した彼女にはきっと、俺ではない別の誰かが相応しい。 夢は夢のままだから美しいのだと思う。 俺は、彼女の王子なんかじゃない。 判っている。
校舎裏から微かに覗く古い教会を見ると心が静かにざわめくのを止められない。 いつからか鍵が掛けられ、学園内での奇妙な噂も絶えないこの教会の前で。 猫に餌をやりに来るたびに無意識に幻を探してしまう俺は、どうかしているのかもしれない。
俺は、自分の目を疑った。
教会の扉の前に立つのは、真新しい高等部の制服に身を包んだ女生徒。 ちょうど校舎の影になっているせいかこっちにはまるで気付いている様子もなく、彼女は扉に手を伸ばした。
一歩。また一歩。 徐々に彼女との距離が縮まる。 こちらに背を向けたまま立ち尽くす彼女に辿り着くまであと僅か。
突然予鈴が辺り一面に響き渡り、慌てたように彼女がくるりと方向転換した。 勢い良く走り出し掛けて、すぐ後ろまで来ていた俺にものの見事にぶつかる。 そしてそのまま芝生の植えられた地面に尻餅をついた。
間違いない。幼い頃の記憶と重なるその面影。 なのに不思議なくらい冷静な自分に驚く。 人間というのはあまりにも驚くと思考回路が麻痺するのかもしれない、とぼんやり思った。
「…は、はい。」
「俺も、1年。」 「あ、そうなんだ! よろしくね! わたし、───」
作者「…という事でときメモは全くプレイする気はないと言いながらしっかり買って、 やったらやったで予想外に王子に嵌ってSSもどきなんか書いちまったよ!! あはははは、何とでも言うがいいさ!!(←三原笑い←ヤケ)」 葉月「……………俺、帰ってもいいか?(←凄く嫌そう)」 作者「…お前にコメントを求める事自体間違いなのは判ってるさ。なんたって流●だし。」 葉月「……………」 作者「それより、はっきり言って笑ったよGS。あまりにも見え見えのOPからして。 ここまでお約束をやられると却って清々しいというのを証明してくれたね王子は。 だからギャグ好きな私のツボに入ったんだよ、きっと☆」 葉月「……………」←何処からか爆弾を取り出した 作者「しっかし今更だけど、本当に姫を待ってたんですかねこの人は。いい年して。 いや微妙に違うかもだけど、顔はいいのに他の女の子と付き合った事もなさそうだしさ。 それで他の男に掻っ攫われた日にゃ目も当てられないねぇ……(しみじみ)」 葉月「……………」←点火 作者「まぁ、ときメモはあれだけデートを繰り返してクサイ台詞を連発しておきながら 2人に付き合ってる自覚がないというのが既に凄いっちゃ凄いんだけどさー。 一度自分のほざいた台詞をテープに録音して聞いてみ? 絶対悶え死ぬから。 ていうか一番恥かしいよ、お前の台詞が。ダンディよりもナルシーよりも。」 葉月「……………」←爆発 後には黒焦げの物体が…つー事で全く会話にならなかった座談会終了(殴) 王子の毒派苦…じゃなくて独白。 |