【2017年503記念】






……何の拷問だ、これは。誰かの陰謀か。



目の前で躓いてよろけたウィンリィを見て見ぬフリなどできる筈もなく。

支えようと手を伸ばしたまでは良かったが、

不安定な姿勢から転げるようにすぐ傍のベッドに座り込んだ俺達の間に何とも言えない空気が流れる。

ウィンリィが顔面から転ばなくて良かった、押し潰さなくて良かったと思ったのは一瞬の事。

すぐ次に浮かんだのは「まずい」といった警告音にも似た感情だった。

俺の太腿の上に完全に乗っかったウィンリィの体重は思ったよりも全然軽い。

それでいてダイレクトに伝わる尻や胸の柔らかさは想像以上で、俺の神経が嫌でもそこに集中するのが分かる。

同じシャンプー、ボディソープを使っている筈なのに

鼻先を掠めるウィンリィの香はやけに甘く感じられて頭がくらくらした。



……ウィンリィもウィンリィだ。

なんでおまえまで顔を真っ赤にして固まってるんだよ。いつものスパナはどうした。

男の部屋でどれだけ無防備な事をしてるのか自覚あるのか?

奇しくも今、この家には俺達二人とデンしかいない。

ばっちゃんとアルは夕方まで帰って来ないし、デンは下で昼寝中だ。

俺が本気でその気になったら、おまえの力じゃどうやっても勝てないって分かってるのか?



そこまで考えて、自嘲するように大きく息をつく。

それが簡単にできたらこんなに苦労しない。今はまだ、勇気がないのは俺の方だ。



「……いつまでぼーっとしてるんだよ、重いんだけど」

「し、失礼ね!」



悪態をつく俺に、慌てて立ち上がったウィンリィが頬を膨らませる。

さっきまでのおかしな空気は完全に消え去っていた。



「でもありがと、助かったわ。床で顔面強打を覚悟したもの」

「人の部屋で大惨事は勘弁してくれ。その靴、この前買った新しい奴だろ。紐調整した方がいいんじゃないか?」

「そうね、金具を弄ればなんとかなるかも……ちょっとやってみる。じゃあね」

「おう、こっちもありがとな」



元々、洗って畳んだ洗濯物を俺の部屋に届けに来ただけだったウィンリィが部屋を出るべく扉に向かう。

その背中を見送りながら、俺はひらひらと手を振った。

───いいんだ、これで。今はまだ。だけど、近いうちに必ず。



「…エドの意気地なし」



───扉が閉まると同時に聞こえた小さな声は、俺の幻聴か、願望だったのかもしれない。















ふー。気付けば超久しぶりのエドウィン小話でした。16〜17歳で幼馴染み以上、恋人未満。
時間がない中、大慌てで1枚絵描いて後付けで適当につらつらと書き出した訳ですが、やっぱエドウィンは書き易いわー。
絵も文も他ジャンルと段違いに書き易い。すらすらと筆が進む。
それだけ長年やってきて、身体に染み込んでるんだねぇ…(しみじみ)

とか言いつつ、ロンパV3をプレイした方には元ネタバレバレですね。
ええ。エドウィンでラブアパっぽいの描きたかったんだよーーーーー!!(爆)
年代的にもちょうどいいし、それならプロポーズ前の方が美味しいなと。
ああでもこれは夢ではないですよ?
アルのプリンをうっかり食べちゃった二人への罰ゲームオチも考えたけど自嘲したのよ?
ラッシュバレー漫画は来年までには完成させたいな……(希望)





(17.05.03.UP)